令和5年10月29日(日)、本学を会場に第3回山陰海岸ジオパークサイエンスカフェ「人間が嫌うヤマトシロアリは、日本の森林の生態系にとって大切な昆虫?!」を開催しました。
講師は、本学環境学部の小林 朋道 教授が務め、はじめに「ヤマトシロアリ」(以下「シロアリ」)の特徴や生態についての説明をしました。シロアリは体内で有機物を分解し無機物(窒素・リン酸・カリウムなど)として排出する働きを持っており、その無機物が自然界を豊かにする一部となり人類社会へ還元され、この働きこそが「人類の生命維持装置」の一端であると解説しました。その後、参加者全員で、屋外にて朽ち木内のシロアリの棲み処を観察したり、採集したシロアリの行動を観察したりしました。
また、後半では講師による実験が行われました。白い紙に黒ボールペンで輪を描き、シロアリがその線上に沿って歩く様子を参加者に見せ「なぜこのような行動をとるのか」と皆で仮説づくりをおこないました。参加者らは講師に具体的な内容を追及されながらも勇んで発表し、5通りの仮説が立てられました。そしてそれらに対する検証実験がすぐさま行われ、全員がシロアリの行動を見守り、その結果から得た1つの仮説に概ね納得しました。最後に講師は、「科学は忍耐。待つことが当たり前。思った通りの結果にならないこともある。だからこそ、「仮説」の検討が何より重要。限りなく答えに近い“仮の答え=仮説”を最初に立てることができれば新しい進歩へつながる」と結びました。
小林 朋道 講師(ヤマトシロアリ採集の様子)
採集したヤマトシロアリの観察の様子