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TUESレポート

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金ゼミの原木しいたけの栽培実験の開始について

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本学と鳥取商工会議所工業部会とのSDGs連携事業(※1)において、工業部会員である菌興椎茸協同組合の課題を解決するため、環境学部 金相烈 教授とそのゼミ生が、令和4年3月25日(金)に、原木しいたけ(ナラ等の原木に生える椎茸)の栽培実験を開始しました。

原木しいたけの栽培では、原木に椎茸種菌(椎茸の形成菌等を固めたもの)を植えます。この椎茸種菌を植えた原木をほだ木といいます。しかし、この椎茸種菌は、フタに発泡スチロールを使っており、原木しいたけの栽培後に、その発泡スチロールが、ほだ場(※2)等にゴミとして残ってしまう問題があります。本学では、この問題を課題として、環境学部 金 教授及び門木秀幸 准教授(サステイナビリティ研究所研究員)とそれぞれのゼミ生が解決に取り組んでいます。課題解決のために両ゼミが、それぞれで検討した結果、方法として「発泡スチロールに代わる生分解性材料のフタ(以下「代替フタ」という。)を探す」研究を行うことに両ゼミとも決定していました。

この代替フタに求められる性能(※3)は、非常に厳しいものがあり、そのため実際に栽培実験を行うことにより性能検証等を行います。金 ゼミに先んじて、門木 ゼミは令和3年5月31日(月)に実験を開始していました(※4)。そして、この度、金 ゼミも実験を開始することになりました。金 ゼミの実験では、本学に「代替フタの椎茸種菌を植えたほだ木」と「発泡スチロールフタの椎茸種菌を植えたほだ木」を設置し、両ほだ木でのフタの性能(椎茸の成長度含む)等の比較を行います。

当日、原木にドリルで穴をあけ、そこに代替フタ(キトサンとその強度を強くする薬品を混ぜて作成したフタ十数種類(薬品の濃度が異なる))と発泡スチロールの椎茸種菌を1本の原木に約20~30個植え、合計8本のほだ木を用意しました。内訳は、代替フタ椎茸種菌のほだ木7本、発泡スチロールフタ椎茸種菌のほだ木1本で、本学にムカデ伏せ(※5)という組み方で設置しました。全ての作業は組合の方のご指導を受けながら学生が行いました。また、本件で金 ゼミと共同研究を行っている公立千歳科学技術大学理工学部応用化学生物学科 オラフカートハウス 教授にもご協力いただきました。多数の方々のご協力により、この研究が成功し、性能の良いフタが発見されることが期待できます。

本学は、この連携事業を含め、学生の成長を目指して、SDGsに取り組んでいきます。

原木にドリルで穴をあける
原木に椎茸種菌を植える
設置場所にほだ木を運ぶ
組み終わった後に記念撮影
(※1)

SDGs連携事業では、SDGsの取り組み推進を目的に工業部会と本学の教員及び学生が連携し、企業の環境分野等における課題を解決します。そして、課題解決を通じて、本学ではSDGsの目標達成並びに学生の成長を目指します。なお、この連携事業は、本学におけるSDGs推進組織であるサステイナビリティ研究所が主導して進めています。また、本学創立20周年記念事業として取り組みました。

(※2)
椎茸の原木栽培の栽培場所です。直射日光を避け、散光線の入る、暖かく湿気のある空気が対流する(その他にも細かい条件があります)場所を選びます。

(※3)
弾力性があること。
光を通すこと。
毒性が無いこと。
虫等が好んで食べないこと。
3年(最低でも2年)程度の耐候性があること。
(理想は、椎茸が成長しフタを押しのけ地面に落ちるまで分解されないこと。)
大量生産が容易なこと。
可能な限り安価であること。
等。

(※4)原木しいたけの栽培実験の開始について
http://www.kankyo-u.ac.jp/tuesreport/2021nendo/20210601004/

(※5)
各ほだ木に雨が当たり、風が通るように、場所に応じて組み方を変えます。他に「井げた積み」や「よろい伏せ」等があります。