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TUESレポート

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鳥取商工会議所工業部会との令和3年度SDGs連携事業報告会の開催について


本学は、鳥取商工会議所工業部会とのSDGs連携事業(※1)に取り組んでいます。この度、令和3年度の事業総括として進捗状況及び成果等を広く共有するために令和4年2月15日(火)に報告会を開催しました。報告会は、新型コロナウィルス感染症に関する現在の状況を考慮して、会場参加者を限定し、YouTubeのライブ配信で行いました。

(※1)
SDGs連携事業では、SDGsの取り組み推進を目的に工業部会と本学の教員及び学生が連携し、企業の環境分野における課題を解決します。本年度は3社の課題解決に取り組みました。そして、課題解決を通じて、SDGsの目標達成並びに学生の成長を目指しています。なお、この連携事業は、本学におけるSDGs推進組織であるサステイナビリティ研究所が主導し、また、本年度は、本学創立20周年記念事業としても取り組みました。

報告会では、まず、鳥取商工会議所 児嶋祥悟 会頭及び江﨑信芳 学長から挨拶がありました。学長は、この連携事業において、実際の企業の課題解決に本学の学生が取り組めることについて、感謝を述べました。続いて、連携事業の概要説明が、森下哲也 工業部会長からありました。その後、本年度各社の課題解決に取り組んだ学生から課題改善提案等の報告がありました。

1社目の(株)松田安鐵工は、鋳物工場から排出される鋳物砂(廃砂(年間約18トン))とその処分費用が課題でした。その課題に対して、環境学部4年生の筒井太一さん(同学部 金相烈 教授のゼミ生)から「使用済み鋳物砂などの再利用・リサイクルにおける環境評価」として報告がありました。その報告では、松田安鐵工から排出される鋳物砂は、環境負荷が無いことの説明がありました。それに対して、福嶋明子 専務取締役から「環境への負荷が無いことで安心した」とのコメントがありました。

2社目のマルサンアイ鳥取(株)は、豆乳製造に伴う、おからの排出(年間約8,220トン(毎年増加している))及びその処理(腐りやすい、処理に伴う輸送費がかかる等)が課題でした。その課題に対して、環境学部4年生の髙野一樹さん(金ゼミ生)から「県内のおから飼料の潜在的利用可能量と県内循環によるコスト及び環境負荷の推定」として報告がありました。その報告では、環境負荷が非常に大きいため環境の側面では乾燥おからを県内で循環することは難しいと説明がありました。結果、環境負荷を重視するならば、生おからを循環していく方法が望ましいとまとめました。それに対して、兼子明 取締役会長から「ビジネスや経営面での視点を持った内容で今後参考にしたい」とのコメントがありました。続いて同課題に対して環境学部4年生の松本大生さんと3年生の道前凜さん(両名とも同学部 門木秀幸 准教授のゼミ生)から「豆乳製造過程から排出されるおからの有効利用に関する研究」と「おから乳酸発酵に関する研究計画」として報告がありました。松本さんの報告では、豆乳おからの「風味・特性を生かした食品(豆乳おからケーキ)開発」「運送効率の向上や処理コスト低減のための脱水処理」「プラスチック代替素材の開発」の3つの提案を行いました。道前さんの報告では「乳酸発酵の脱水効果による乾燥おからのコスト低減」「脱水おからの肥料及び飼料化」「乳酸発酵の発酵液からの生分解性プラスチックの原料化」といった研究の将来イメージの説明を行いました。2人の報告に対して、兼子 社長から「豆乳おからケーキを食べてみたい」「環境学部で新素材を作り経営学部で事業化するようなことも検討して欲しい」とのコメントがありました。

3社目の菌興椎茸協同組合は、原木しいたけ栽培用の椎茸種菌を複数まとめてシート状にしたものを製造・販売していますが、種菌のフタに発泡スチロールを使っており、栽培後に、その発泡スチロールが、ゴミとして残ってしまうことが課題でした。その課題に対して、環境学部4年生の髙橋美香さん(金ゼミ生)から「シイタケ形成菌のフタ材としてキトサンを原料にした生分解性プラスチックの機能性及び分解性評価」として報告がありました。その報告では、キトサンのフタ材の紫外線による機能性への影響がほぼ無いこと等のキトサンフタ材の有効性の説明を行いました。それに対して、常田孝一郎 代表理事 組合長から「カニの甲羅由来のキトサンをフタ材に使用出来た場合、蟹取県(鳥取県)としてPRになる」とのコメントがありました。続いて同課題に対して環境学部4年生の竹内駿斗さんと3年生の下戸宥人さん(両名とも門木ゼミ生)から「しいたけ原木栽培における発砲PLAを用いた種菌保護蓋の検討」と「生分解性プラスチックを用いた しいたけ原木栽培に関する研究」として報告がありました。竹内さんの報告では、発泡PLA製のフタの代替可能性の説明がありました。下戸さんの報告では、今後の研究計画「接着剤の検討」「PLAシートの加工確認」「発泡PLA形成菌の試作、それを用いた栽培実験」「発泡PLAの分解試験」の説明がありました。2人の報告に対して、常田 組合長から「発砲PLAのフタを用いた栽培実験で、しいたけの発生があり良かった」「発泡PLAの加工(難しい)課題を解決して欲しい」とのコメントがありました。

最後に、来(令和4)年度に、新たに本連携事業で取り組む企業の三洋テクノソリューションズ鳥取(株)の生産企画・資材グループ生産企画2チーム 三崎英子 チームリーダーから『「食による健康・食材廃棄ロス削減、ジェンダーレス社会の実現」に向けた商品開発』として課題の説明があり、報告会を終えました。

本学は、本年度に引き続き、来年度も本連携事業の取り組み等を通じて、本学の学生が活躍し成長して行く姿を地域の皆様にお見せすることができるように尽力して行きます。


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