古民家「終活」の時代-重文民家での講演会

古民家「終活」の時代-重文民家での講演会

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最終更新日:2019-11-08

重要文化財「河本家住宅」秋の公開

 

10月23日(水)、琴浦町の重要文化財「河本家住宅」秋の公開にともなうイベントとして、「『鳥取県の民家』その後-河本家・倉長家の幕末家相図の分析を含めて」と題する講演を、本学環境学部浅川研究室(8名)がおこないました。内容構成と分担は以下の通りです。

 

1. 序-昭和49年刊『鳥取県の民家』を訪ねて
 1-1 報告書『鳥取県の民家』について(3年・井上)
 1-2 新聞連載「失われゆく民家」(3年・藤井)
 1-3 COC麒麟マイスター研究採択(4年・野口)
 1-4 昭和40年代後半の日本と鳥取(3年・蔵田)
2.河本家と倉長家の幕末家相図を読み解く
 2-1 河本家住宅の幕末家相図とその復原(浅川)
 2-2 倉長家住宅の幕末家相図とその復原(修士・岡崎)
3.『鳥取県の民家』その後-中間報告
 3-1 在方農家の変容パターン(3年・沼野)
 3-2 町方町家・武家の変容パターン(岡崎)
4.民家から見通す鳥取県の変動
 4-1 過疎と指定解除(3年・佐藤)
 4-2 指定文化財民家と公開・活用(浅川)
 4-3 民家終活の時代-反「空き家活用」論(浅川)

 

平日午後の開催であったにもかかわらず、河本家保存会のメンバーや県内の茅葺き民家居住者、文化財技師など約30名が河本家ハナレ(18畳)に集まり、講演を聴講されました。学生の大半は初めての対外的な発表であり緊張したようですが、「緊張したけど見ている人が反応してくれたり、メモをしているのを見て嬉しくなった」「調査に行った民家の方が来てくださって嬉しかった」「半年間学んできたが来場者の方が民家に詳しかったりして気づかされることも多かった」「練習通りにできた。聴講者が興味を持ってくださって嬉しかった」などポジティブな反応が多かったようです。一方、保存会の側からは「学生さんの発表態度、講演の内容は非常に良かった。話の内容がよく分かり、民家や空き家の置かれている現状と問題点が把握できたと思う」という高い評価をいただきました。

 

空き家再生も今は昔-古民家「終活」の時代

 

講演内容では、とくに「古民家の終活」について強い関心が寄せられました。過疎・老齢化と後継者不在・空き家化、撤去・改修費の負担、アメニティ(快適性)の欠如などから『鳥取県の民家』報告書(1974)に掲載された古民家は続々と姿を消しつつあります。一時は「古民家リフォーム」が人気を博しましたが、それも今は昔。とくに空き家となった民家の撤去補助、改修補助は著しく薄っぺらなものであり、空き家化~撤去の流れは一般民家にとどまらず、文化財民家まで巻き込んで4軒が「指定解除」に至っています。これまで文化財関係者は歴史的建造物の維持保全にばかり目をむけてきましたが、いまは「古民家をどう終わらせるか」を真剣に考察すべき時代を迎えているのです。実際に茅葺き民家に住む聴講参加者からも「民家の終活の問題が現実的でいちばん印象的だった」というコメントがあり、保存会のメンバーからも「夫婦で参加し、講演の内容に強い関心をもった。民家の終活についてのシンポジウム的なことができないだろうか」というメッセージをいただきました。くりかえしますが、古民家再利用のブームも今は昔。民家は本格的な「終活」の時代を迎えているのです。

 

関連リンク先(浅川研究室ブログ)

『鳥取県の民家』を訪ねて(40)

 

 

河本家ハナレでの講演風景河本家ハナレでの講演風景
茅葺き民家居住者のコメント茅葺き民家居住者のコメント
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