9月1日(日)、鳥取市的場のシュガーナックル・ボクシングジムが登録記念物「摩尼山」を舞台に、メンタルトレーニングの一環として密教修行に取り組みました。参加者約20名の大半は小中学生の会員とその保護者です。不思議な縁ですが、環境学部の浅川滋男教授はこのジムの会員であり、週に1~2度汗を流されています。今回のイベントは浅川教授とはまったく無関係にジムの会長が進められたものですが、摩尼山・摩尼寺は浅川研究室のメインフィールドであり、研究室の学生2名とともにイベントを支援されました。教授も学生も、中国四川省のチベット族自治区(海抜3,000~4,000m)の調査から帰国されたばかりで体調が不安視されていましたが、無事トレックの案内係をこなしました。
密教修行は本堂での護摩焚きから始まりました。参加者は全員護摩札に願い事を書き、居川敬信副住職が読経しながらすべての護摩札を燃やしていきます。そうすることで天に願いが届くのです。次はミニ回峰行。摩尼川源流に沿って古参道を歩きます。ここで教授がトレックを先導され、二人の学生が中間と最後尾で行列をコントロールしました。「奥の院」遺跡で精進弁当の昼食後、さらに立岩のある鷲ヶ峰をめざします。ここでは「湖山長者の伝説」「賽の河原の物語」などを説明し、立岩脇の帝釈天像の前から周囲を見渡しましたが、あいにくの霧雨で湖山池だけが近くにみえ、日本海を望むことはできませんでした。
その後、近代の登拝道を阿弥陀如来堂まで下り、今度は止観修行。密教(天台宗)の「止観」とは禅宗の「座禅」のことです。ここでは再び居川副住職の指導で参加者は精神修養に励みましたが、教授と学生は9月4日からのブータン調査の準備のため下山しました。
今回、アスリート系ジムのメンタルトレーニングとして密教修行がイベント化されたことは新しい発見です。これまではトレッキング、講演会、音楽会などを開催してきたわけですが、現代のストレス社会を生き抜くためのメンタルバランス修養として仏教の修行は有用であり、本質的な摩尼山・摩尼寺の活用ツールであることを学べた有意義な一日となりました。
関連リンク先(浅川研究室ブログ)
摩尼寺護摩焚き・止観・回峰行-ボクシングジムの密教修行(浅川研究室ブログ)
摩尼寺護摩焚き・山道(旧参道)巡り(浅川研究室ブログ)
シュガーナックルボクシングジム 鳥取店