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TUESレポート

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環境学部 重田祥範講師が第24回日本生気象学会研究奨励賞を受賞!

本学環境学部の重田祥範講師が日本生気象雑誌に掲載された学術論文「都市内の大規模緑地がもたらす大気冷却効果-大阪城公園の事例-」が日本生気象学会から認められ、第24回日本生気象学会研究奨励賞を受賞しました。受賞にともない、2015年11月7日(土)に中京大学(名古屋市)で開催された第54回日本生気象学会全国大会において、受賞式ならびに記念講演がおこなわれました。
本論文は、都市内緑地の大気冷却効果を定量的に把握するため、大阪城公園とその周辺都市部を対象とした地上気象観測を実施し、今後のヒートアイランド対策に向けた緑地の導入方法について論じたもので、日本生気象学会から「生気象学に関する優れた労作であり、我が国生気象学の進歩に寄与するところ大である」として高く評価されました。

※関連リンク:日本生気象学会ホームページ (外部サイトにリンクしています)

 

表彰式の様子 左:秦野名誉教授 右:高橋学長
(受賞記念講演の様子) (左:会長 星秋夫(桐蔭横浜大学)、右:重田祥範講師)

 

【論文タイトル】
都市内の大規模緑地がもたらす大気冷却効果-大阪城公園の事例-


【著者】
重田祥範(公立鳥取環境大学 ※論文発表時は立正大学)
高岡利行・大橋唯太(岡山理科大学)、亀卦川幸浩(明星大学)、平野勇二郎(国立環境研究所)


【掲載雑誌】
日本生気象学雑誌 Vol.50(1)p .23-35(2013)
論文はこちら(PDF:2.6MB)


【論文概要】
都市内緑地の大気冷却効果を定量的に把握するため、大阪城公園とその周辺都市部を対象とした地上気象観測を実施した。その結果、放射冷却によって芝生地で生成された冷気が樹林地まで輸送されるよりも、樹林地の樹冠上部で生成された冷気が地表付近へと沈降し蓄積した可能性が示唆された。
今後は、現存する緑地をいかに効果的に活用するかがヒートアイランド緩和策の課題となる。夜間は安定成層が形成されて大気混合が弱まるため、緑化を施した地域を中心に気温の低下が期待できる。一方、日中は必ずしも公園の気温が低くなるとは言えない。また、日中は夜間に比べて風も強く、乱流混合層がよく発達するため、緑地と低温域の水平分布は夜間と一致しづらくなる。つまり、緑化を施したにもかかわらず、その地域の気温低下に貢献しにくいという現象が起こり得る。したがって、日中は大気の冷却を期待するよりも、放射環境を改善することに重点を置いて、樹林地のような避暑地を都市内に配置するのが望ましいと思われる。一方、夜間の気温低下には緑地面積の増加が、大気をどれだけ冷やせるかという冷却ポテンシャルに結びつくため、そのようなヒートアイランド対策導入の検討が必要である。