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令和5年度 地域実践(麒麟)副専攻について

◆地域実践(麒麟)副専攻は、地域固有の自然環境に根差し、長く伝わる文化、社会、経済、技術、暮らし方などの根底に流れる地域独自の「在来知」と、大学で学ぶ普遍的な「専門知」をうまく活用し、地域社会の現実的な課題に実践的に対処する力を身に付けます。主専攻で学ぶ深い専門知に根差しつつ、実際の地域の課題に積極的に関わり、柔軟に対応し、協働的に「こと」にあたることができるリーダーシップを持つ人材になることを目標としています。以下、今年度実施した授業について抜粋してご紹介します。

【令和5年度実施分】
特別演習A「中央大学連携共同フィールドワーク」/実施月:9月、12月
担当教員:環境学部 加藤 禎久 准教授
東京という大都会における緑地や里山、山林の役割や利用、管理体制について把握することを目的とし、中央大学の後楽園キャンパスが位置する都心、及び多摩キャンパスがある郊外部の八王子市において、代表的な緑地や里山地域、山地の森林を歩きました。学生は各地の生態学的特徴と社会経済の現状について調べ、持続可能な地域づくりの観点から今後の在り方について考察しました。
(演習風景)
特別演習B「智頭町ライター実習」/実施月:9月
担当教員:経営学部 倉持 裕彌 准教授
地域の課題の解決を目指す自治体の政策について、実体験を通して学ぶ実習です。具体的には智頭町が実施している「町民ライター」の制度を学生用にカスタマイズし、智頭町の全面協力の元、受講生がライター(記者)となって町の魅力等について広報活動を実施します。授業ではまず智頭町の担当者の講義を受け、基本的な知識を身に付けた後、学生が現地で取材や記事作成をしました。その後、学生が智頭町のFacebookへ記事投稿を行い智頭町内の魅力スポットを伝えました。
(学生のSNS投稿記事)※智頭町Facebookより
(学生が撮影した石谷家住宅からの風景)
特別演習B「農業経営・都市農村交流」/実施月:9月
担当教員:経営学部 山口 和宏 講師
環境問題は世界的に重大な関心事項であり、農業経営においても、生産者・消費者に加えて、環境についても考慮する必要がでてきています。また、都市生活者において農業や農村生活に関心を持つ者が増えており、農村では、どのように都市生活者を迎え入れ、どのような交流を図るべきかを検討することが重要事項の一つとなっています。そこで、北海道の農協の連合組織であるホクレンが運営する都市・農村交流施設「くるるの杜」での座学・実習を中心に、鳥取県とは異なる農業基盤を有する北海道農業の実態について学びました。学生達は、農業研究施設での取り組み、農産物を活用した都市農村交流に関する取り組みについて、実際に作業を体験したり、担当者から説明を受け、質疑応答をしたりすることで、農業経営や都市農村交流に関する実践的知識に触れる機会となりました。
(演習風景)
特別演習C「実習船による海洋観測」/実施月:9月
担当教員:環境学部 太田 太郎 准教授
この実習では、境港総合技術高校の若鳥丸に乗船(2泊3日)し、鳥取県沿岸域の海洋観測を実施しました。乗船調査を境港総合技術高校の学生と共同で実施し、高校生との交流を深めつつ、海洋調査に関する実践経験を積むことで、専門的な知識を身に付けることを目指しました。観測結果、特に水温のデータは、ハマチ、サワラ、マアジ、タイ、ケンサキイカなどの回遊性水産資源の漁場形成を予測する上で重要な情報です。得られた結果を解りやすく図示し、漁業関係者等が利用しやすい形で資料としてとりまとめました。学生は、慣れない船上での海洋調査に真剣に取り組む貴重な体験となりました。
(演習風景)
特別演習C「環境教育活動を軸とした持続可能なまちづくり」/実施月:10月・11月
担当教員:環境学部 甲田 紫乃 准教授
八頭町では、SDGsの理念を取り入れ、「誰一人取り残さない、持続可能で魅力ある八頭町」を目指すべく、様々な分野で持続可能なまちづくりに取り組んでいます。本授業では、特に地域資源を活かした環境教育に焦点をあて、SDGsの観点から環境教育活動を軸とした持続可能なまちづくりについての洞察を深めました。本授業は、①環境教育に関する学術的な基礎知識を把握し、②学びの森を志向する八東ふるさとの森を、フィンランドで実施されている「サステイナブルツーリズム」の観点から、環境教育、エネルギー教育の場として再考察する。そして、③学術的理論と実地体験をもとに、新たな環境教育活動を考案し、八東ふるさとの森の関係者、地域住民に対して、その方策を提案することを通して、④学生自らの問題意識・当事者意識を醸成することを目的とします。学生は現地で担当者から実地で学び、共に話し合い、環境教育を深く学びました。
(演習風景)