
令和7年12月3日(水)に本学200講義室にて、令和7年度SDGs特別シンポジウム「脱炭素社会の実現に向けて~課題共有から共創へ~」を、2部構成で開催しました。当日は、自治体や企業等のご参加もあり、本学学生を含めて125名の聴講者を迎えました。
本学は、2050年度の温室効果ガス排出ゼロを目指して、2023(令和5)年度より環境省の「脱炭素先行地域プロジェクト」に取り組んでいます。
このシンポジウムでは、プロジェクトの課題について、本学研究員が昨年度取り組んだ研究成果の中間報告に併せ、行政・地域・民間関係者との対話を通じて、現場の課題と展望を共有し、関係者連携のあり方について議論しました。
第1部は、令和6年度サステイナビリティ研究所研究成果報告として、以下のとおり4名の研究員が、それぞれ昨年度に取り組んだ研究の成果を報告しました。聴講者からは「大学の先生が継続して脱炭素先行地域と連携した研究を行っていることに大きな意義があると思う。」との意見が寄せられ、研究成果の脱炭素先行地域プロジェクトへの貢献が期待されます。
| 研究員 | 研究課題 |
|---|---|
| 環境学部教授 金 相烈 |
木質バイオマス発電に伴う燃焼灰(バイオチャー)の農業用途への再利用に関する研究 |
| 人間形成教育センター准教授 堀 磨伊也 |
多様なセンサデータを用いたXAIによるエネルギーマネジメントとグリーンインフラの評価 |
| 環境学部准教授 山口 創 |
農業者のバイオ炭の導入背景と農業経営への影響に関する研究 |
| 環境学部准教授 甲田 紫乃 |
住民主体のまちづくり文化の醸成に関する研究:地域脱炭素の取り組みに関する合意形成を軸に |
第2部は、脱炭素先行地域プロジェクトに関わりがある方々3名をパネラーにお迎えし、それぞれが取組まれている活動の内容や今後の進め方、課題等についてご紹介いただいた上で、サステイナビリティ研究所の金所長をファシリテーターに、ディスカッションを行いました。
①脱炭素まちづくりアドバイザーの白籏様からは、脱炭素先行地域である岡山県西粟倉村では、地元林業の振興を基本理念に、木質バイオマスや水力発電、太陽光発電などの取組みを進めていること、
②株式会社鳥取メカシステム代表取締役の林様からは、CO2削減は企業責任であり、環境と経営は両立できるとの信念の下、太陽光パネルや蓄電池などのハード整備に加え、業務におけるペーパーレス化や残業時間削減などのソフト面も併せて、社を挙げて脱炭素化の取組みを進めていること、
③株式会社スマートエネルギーとっとりの保木本様からは、会社が設立された背景・経緯や、鳥取市が脱炭素化施策をビジネスとして展開する理由、鳥取市が目指す脱炭素社会の将来像と自社の役割、についてご紹介・ご発言いただきました。
パネラーの方々のご発言を踏まえて、金所長は「脱炭素は単なる施策ではなく、未来に向けた戦略。未来を創る力は、立場が異なる主体が連携した取組みが必要。」と締め括りました。
参加者からは、「現場のリアルな声を聞くことができ、脱炭素の課題がよくわかった。」、「それぞれの取組みにおいて、目的や未来の方向性がしっかり見えていて良かった。」などの感想が寄せられ、シンポジウムのテーマである「課題共有と共創」について、参加者間で合意形成が図られたことと思います。
本学は、このたびのシンポジウムを踏まえ、今後も引き続き民間企業や行政等と連携しつつ、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。
研究成果報告の状況
パネラーの方々
熱心に聴講する参加者