文字サイズ

TUESレポート

過去10年分を掲載しています

酒井裕規講師が日本交通学会賞(論文の部)を受賞

10月15日(土)、16日(日)人間形成教育センター酒井裕規講師が、神戸大学にて開催された第70回日本交通学会2011年度研究報告会において、交通に関する優秀な学術的業績を顕彰するために設けられた日本交通学会賞(論文の部)を受賞しました。
本論文は、International Conference on Competition and Ownership in Land Passenger Transport (Thredbo)などの海外の交通経済関連の国際学会での報告・議論をもとに加筆修正した論文がResearch in Transportation Economics(ELSEVIER社)に掲載されたもので、公営バス事業の経営の状況に各種補助金の動向と近年改革のための手法として注目されている「管理の受委託」が及ぼす影響を分析し、公営バスの経営改革に対して有益な示唆を与えたとして評価されました。 今回の賞を受け酒井裕規講師は「栄誉ある賞をいただきましたが、この受賞に満足することなく、これまで以上に研究そして教育に精進を積んでいきたいと考えています。」と感想を述べました。
(日本交通学会ホームページ http://gakkai.itej.or.jp/shoukai.html

01

【論文タイトル】
The Effect of Governmental Subsidies and the Contractual Model on the Publicly-owned Bus Sector in Japan
【著者】
酒井 裕規(鳥取環境大学(論文では神戸大学))・正司 健一(神戸大学)(敬称略)
【掲載雑誌】
Research in Transportation Economics, Vol. 29, Issue. 1, 2010, pp. 60-71.
【論文概要】
近年の厳しい地方財政事情の中、地域内のサービスを供給する公営バス事業の各種非効率性や膨張する補助金への予算制約といった問題が注目され、その改革が喫緊の政策課題となっている。本論文は第一に、公営バス事業の経営の状況について各種補助金の動向と、近年改革のための手法として注目されている業務委託、なかでも営業所単位で委託を行う「管理の受委託」の概要を整理した。次にこれらの要因が公営バス事業の費用構造にいかに影響しているかを検証するため、トランスログ型費用関数を推定したのち、その推定結果を用いて、規模の経済性や投入要素価格に関する補助金弾力性や単位委託価格に関する代替の弾力性を計測した。分析結果より、公営事業者への補助金が事業者の費用を押し上げる効果を持ち、また全ての投入要素需要を増加させていることが明らかになった。一方、外部事業者への管理の委託については費用に正の影響を与えている結果となった。推定モデルに改良の余地が残されているものの、以上の結果は、裁量的な補助金制度の見直しと現在の委託方式の妥当性や有効性への疑念を示すものと解釈できる。