プロジェクト研究の紹介

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プロジェクト研究発表会レポート

まちの「居場所」を探る・考える

担当教員 / 張 漢賢 教授

日常生活で最も長い時間を過ごす自宅(1st place)、職場(2nd Place)以外の第三の場所を指す「サードプレイス」。多様化するライフスタイルに対応して色々な形で存在しています。本プロジェクトでは、このサードプレイスについてグループに分かれて検証。本学学生を対象にしたアンケートでは「友だちの家」という回答が最も多くなりました。「距離」や「広さ」、「集まる人数」「過ごし方」など項目ごとに分析すると、男女によって特徴が分かれました。そのほか、「ゆったり空間」について考察。実際にカフェ、公園、休憩所などを訪れ、特徴や改善点などを話し合いました。サードプレイスとして選ばれる基準などを明確にできたことで、快適に過ごせる「居場所」づくりにも役立てることができそうです。

善意と公共性を考える

担当教員 / 遠藤 由美子 教授

私たちは日々の言動、作り出すものに責任を持たなければいけません。しかし、善意(意図)による行動であっても誤解されたり、不満を持たれることもあります。それはなぜでしょうか。このプロジェクトでは、私たちの周りいある「こと」「もの」「空間」について、「善意」や「公共性」によって再評価することで、社会の中にある課題について考察していきました。「善意」とは何か、「公共性」が持つ問題点など、既成の概念に囚われず、深く考え、解決すべき課題について、学内をはじめ鳥取市内の街をフィールドに、メンバー同士で意見を交換し合いながら整理しました。普段気に留めることなく利活用しているものでも、視点を変えるだけで新たな課題を発見し、改善することでよりよくできることを発見しました。

那岐山の植生調査と土壌温度の観測

担当教員 / 重田 祥範 講師

鳥取県智頭町に位置し、鳥取県内で4番目に高い那岐山。国定公園に指定され、そのままの自然が残っています。私たちは那岐山の自然環境について「気温」「土壌温度」「植物」「虫」「動物」を対象に5班に分かれて調査しました。実際に那岐山でのフィールドワークを通してデータを収集。そのデータから、標高によって変化する気温や土壌温度、赤や黄色に変化する紅葉の関係性を裏付けることができました。動物の調査ではフィールドサインを観察し行動を調査。近年那岐山に生息するニホンジカによる食害についても調査しました。予想されるニホンジカの個体数を考えると植生を破壊する可能性は少ないと考えられます。より正確な調査を実施していくためにも、効率よく調査、データ収集する方法を模索していきます。

地方創生について考える

担当教員 / 矢野 順治 教授

今、話題となっている「地方創生」とは、地域が自律的に持続的な魅力を築いていくことです。例えば鳥取であれば砂丘を観光地化してPRするなど。こうした地方創生について、本プロジェクトでは、「賃金」「学力」「人口」がどのように関わっているのかを統計的手法を用いて分析しました。地域を盛りあげるためには、人口の増加、県外からの人の呼び込みなどが必要です。さまざまなデータを分析する中で、各グループの学生たちは、「賃金の増加による地元企業への就職」「優良な企業へ就職するための学力が育成できること」「出生率増加への貢献の必要性」といった問題解決の方法を導きました。こうした考え方を、鳥取だけではなく、他の地方都市出身者の学生たちが応用することで、地方創生に貢献できるはずです。

鳥取県の企業動向 ~なぜ企業は倒産するのか~

担当教員 / 泉 美智子 准教授

倒産というと、一般的な認識である赤字倒産のほか、黒字であるにも関わらず倒産することもあります。そこで鳥取県における倒産の実態を調査しました。実際に倒産した企業のほか、悪化した経営を立て直した企業にも取材を行い、健全な企業経営について、①確固たる企業理念を持つ、②時代のニーズに適応する、③資産の数字に強くなる、④よりよい職場環境をつくる、⑤金融機関との友好的な関係という5つを導きました。倒産のプロセスはさまざまですが、何十年も前の経営の積み重ねが影響すること。従業員だけではなく、下請け関連企業、消費者である私たちなど多くの人へ影響することも分かりました。倒産という難しいテーマでしたが、信用保証協会の皆さんのご協力により、有意義な研究となったようです。

農業の収益性と生産性を考える

担当教員 / 武部 隆 教授

本プロジェクトでは、第1に農業経営の収益性について、「水田作経営」「野菜作経営」「果樹作経営」「酪農経営」の4つの営農類型別かつ、それぞれ個別経営、組織経営ごとにグラフ化しました。分析すると中国地域における個別経営の4つの営農類型の収益性は全国的に見ても低位にあることが分かりました。第2に農業生産の生産性について、コメと牛乳を対象に全国農業地域別にみた物的生産性分析を実施。中国地域のコメの物的生産性をみると、近年は全国平均と同様、労働生産性の大きな増加と土地生産性のわずかな増加となっています。牛乳の物的生産性では、家畜生産性は高く、労働生産性は低いという傾向があり、家畜生産性の増加は全国平均より高いことが分かりました。

プロジェクト研究紹介

海洋微生物の研究が育てるのは、自然・人・社会・文化・行政との対話力。

 

吉永郁生

環境学部 環境学科

吉永郁生 教授

【専門】

海洋微生物学、微生物生態学

【担当科目】

海洋環境学概論、自然環境保全実習・演習Ⅰ、自然環境保全概論

[ Profile ]

京都大学卒業、同大学大学院農学研究科博士後期課程水産学専攻を経て、1990年5月京都大学農学部助手に就任。1991年5月京都大学農学博士学位取得。1996年9月から1997年7月まで、文部省在外研究員としてアメリカ合衆国オレゴン州立大学に留学。帰国後、京都大学大学院農学研究科助教を経て、2013年4月鳥取環境大学環境学部教授・大学院環境情報学研究科環境情報学専攻教授に就任。

 

プロジェクト研究の序章
海洋微生物の研究が育てるのは、自然・人・社会・文化・行政との対話力。

海洋微生物を研究して30年。まさかその守備範囲が陸に上がり漁師や漁村文化、行政へと広がるとは思いませんでした。きっかけはフィールドワークを手伝ってくれた漁師さんの「海の環境が悪くなって、魚が獲れなくなった」との言葉。微生物で解決できないかと考えていくと「海の問題は陸にあり」でした。社会や生活習慣の変化が里や山の環境問題となり、海へと注ぎこんでくるわけです。ところで海洋微生物が喜ぶ環境を知っていますか?答えは海辺、海と陸と大気の境です。海辺は微生物はもちろん魚介類や動物、人にもいい場所で活気がありますよね。海辺のように都会と田舎、生産者と消費者、生活者と行政、老若の世代間など境を活性化する策を町や県と協議するまでになっています。その一つ、ある漁村の後継者不足について「漁村の暮らし」と「鳥取の海環境」という2方向からアプローチするのが本プロジェクトです。

自分たちで鳥取の海の海水を採取。持ち帰ってデータに落とし、分析します。

 

海洋微生物の研究が育てるのは、自然・人・社会・文化・行政との対話力。
鳥取の海環境

水質データをとる機械や装置の使い方をマスターしながら実地調査しました。さらに瀬戸内海や有明海、紀伊水道のデータを各機関から取り寄せ比較。鳥取の海の個性を水質データから定義します。獲れる魚介類、それらを使った郷土料理や名産品、海の風習、さらに未来の海の利用法まで探りたいです。

船を出して本格的に有明海の水質調査。データを分析し海の個性を探ります。

 

漁村の暮らし

本学の学生を対象にアンケートをつくることからはじめ、回収し分析しました。そこで浮かび上がったのは漁村情報の少なさ。若者はまったく漁村のイメージを持っていませんでした。情報を発信し魅力を伝え、若者と漁村をつなぐシステムを漁師や行政、本学の力で構築していきたいですね。

 

ディスカバー漁村文化

この2つの研究が交わるところに、魅力的な漁村像や未来の漁師像があると思います。そして研究により学生たちが身につけるのが対話力。課題を見つけ自問自答しながら研究する力です。漁師さんや行政の方々との会話は本当に話をする力が身につきますね。海洋微生物の研究が社会を変える瞬間に立ち会えるかもしれませんよ。

 

海洋微生物の研究が育てるのは、自然・人・社会・文化・行政との対話力。

 

買物困難地域の支援策を考察

 

磯野誠

経営学部 経営学科

磯野誠 教授

【専門】

マーケティング

【担当科目】

マーケティングⅠ・Ⅱ、商品開発、地域マーケティング

[ Profile ]

1990年千葉大学工学部工業意匠学科卒業、2004年神戸大学大学院経営学研究科専門職修士課程、2008年同博士後期課程修了。博士(商学)Procter & Gamble Far East Inc、The Procter & Gamble(OH, USA)出向等を経て、2009年10月九州共立大学経済学部准教授、2012年4月鳥取環境大学経営学部経営学科准教授就任。

 

地域、行政、大学が一体となって目指す地域課題の解決

人々にとって日常の買物の意味とは、ただ生活に必要なものを買うという物理的側面だけでなく、気分転換に始まって、何か新しいものを探す楽しみ、人や社会とのつながりを感じる、家族のことを思いやる、自立していることを確認するといった快楽的、社会的側面があります。現在、全国の中山間地域では居住地から一番近くの食品スーパーも例えば20km以上先で買物が簡単にできないという状況が深刻化してきています。そのような状況における住民への支援とはいかにあるべきでしょうか。地元、鳥取県でもこの買物困難地域が増加傾向にあり、県からの助成も得ながら調査を進めています。今回の調査では、フィールドワークとして県内の中山間地域に出向き、その住民へのインタビューを通して彼らの買物ニーズ、生活・社会環境、心理状態を理解。買物の物理的側面だけではく、快楽的、社会的側面にも注目し、総合的な支援策を探ります。

買物困難地域の支援策を考察

マーケティングの役割分担も学生が主体となって決定していく。

 

他者を理解する力、他者への関心が大切

マーケティングとは顧客価値の創造ですが、その顧客とは他者であり、まず他者の理解がその第一歩となります。このプロジェクト研究では、半年という凝縮された期間で、その他者理解の方法としての参与観察やインタビューの仕方を修得しつつ、中山間地域の住民、その生活、その環境を自分の実感として捉え、その上で買物問題を考えることができるようになることを目指しています。

買物困難地域の支援策を考察

調査対象の地域へ直接訪問し、お店や地域住民の方を観察することもマーケティングには大切。

 

買物困難地域の支援策を考察
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